俺的糞小説その108『虚無への供物』

中井英夫が書いたこの推理小説、糞である。※ネタバレ全開

この小説、氷沼家という邸宅で次々人が殺されるという殺人事件なのだが、最初に探偵役が事件が起きる前から
誰が死ぬか分かるなどと言い出し実際にその人物が死に、その死体は鍵の掛かった風呂場で発見され密室という
ことで登場人物が自殺だの被害者が死ぬ間際に鍵を掛けて死んだだのと推理をするが真相は分からず、次に
書斎で第2の密室殺人が発生しガス中毒で殺されたことが分かり天井からガスを入れただの合鍵があったなどと
推理をするがこれもまとまらず、更に養老院で一族の老婆が焼死する事件が起きるがそこまでで
本一冊分もあるなどやたら長く、後半ではまた密室で毒殺されたり黄色の部屋で吊るされる事件が発生するが
黄色の部屋の事件だけは小説の中の話だったという必要性のない展開で架空の事件のくせに真面目に推理するなど
意味不明で、結局最初の密室は洗濯機と紐を使ったトリックで2番目の密室は最初にドアを開けようとした
奴が犯人で本当は鍵が掛かっていなかったというしょぼい内容で、養老院の事件はただの事故で3つ目の事件は
自殺だったりなど、とにかく事件も結末もしょぼすぎるのは面白味がない。
こんなしょぼい内容を上下巻にするなよ、という感じだが、もう少しテンポ良く事件やトリックも面白いものに
すべきだろう。

というわけで、色々と糞な今作。
小栗虫太郎の『黒死館殺人事件』、中井英夫の『虚無への供物』、夢野久作の『ドグラ・マグラ』は
日本探偵小説三大奇書らしいが、結局どれも糞なのだから勘弁して欲しいものである。
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