俺的糞小説その107『動く家の殺人』

歌野晶午が書いたこの小説、糞である。※ネタバレ全開

この小説、劇団で起きた殺人事件を描いた推理小説なのだが、最初はつまらない演劇の稽古がだらだらと続く
など退屈でなかなか事件が起こらず、劇本番中におもちゃのナイフが本物とすり替わり刺される事件が起きるが
怪我をしただけで死なず、その後別の男が刺されて死に劇団を手伝っていた信濃という探偵役が推理をし
犯人は劇場のオーナーで劇場は円形な作りで客席を壁ごと回転させることができカギの掛かったドアから楽屋に
忍び込みナイフをすり替えたという大がかりなトリックが明かされるのはまあ良いのだが、なぜかその後信濃が
殺され今度は別の信濃が登場し今までのは偽物の信濃で保険証を盗みサラ金で金を借り劇団の金を持ち出した
詐欺師であることが判明し劇団での殺人事件での推理はデタラメで劇場が回転するというのも嘘でナイフを
すり替えたのは殺された本人で自殺だったというしょぼい結末に変わるのはいまいちで、一人目の怪我は喧嘩の
際にナイフがすり替わっただけで最後は本物の信濃が大麻所持栽培で逮捕され偽物の信濃が殺されたのは
メンバーに劇団の金持ち出しの件で喧嘩になりはずみで頭を打ち死んだだけだったりなど、結局自殺と喧嘩で
死んだだけなのは面白味がない。
作者自身がシリーズ物を書く力がなく探偵を退場させたかったと記しているが、最後ならもう少し事件や
構成など何とかして欲しいところだろう。

というわけで、色々と糞な今作。
その後は探偵物ではない社会問題を絡めたような独自路線の小説を色々出したが、ろくなものがないのは
勘弁して欲しいものである。
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