俺的糞小説その104『春から夏、やがて冬&葉桜の季節に君を想うということ』

歌野晶午が書いたこの小説、糞である。※ネタバレ全開

春から夏、やがて冬
この小説、娘をひき逃げ事故で亡くし妻が自殺したスーパーの店員を描いたストーリーなのだが、時系列が
バラバラでいまいち分かりにくく、スーパーで万引きしていた女と知り合いになりDV男と同居しているという
ことで別れた方がいいと忠告したり金銭的援助をしたりなどしていくがなぜかその女を主人公が殺害し、
その理由がその女こそが娘をひき逃げした犯人だったから、ということが明らかになるが唐突すぎていまいちで、
しかも最後はそのひき逃げ犯が女であるという話は女自身が作った嘘で、解決していない事件を解決させることで
主人公の心を晴らし恩返ししたかったらしいが結局本当のひき逃げ犯は分からずあっさり終わるなど、何とも
つまらない糞小説に仕上がっている。

葉桜の季節に君を想うということ
また、葉桜の季節に君を想うということは女好きで元探偵の主人公が友人の頼みで布団などを高値で売りつける
悪徳会社を調査するというストーリーなのだが、悪徳会社により借金を背負った女が保険金殺人に関わっていく話や
主人公が昔惨殺事件を調査するためにヤクザに潜入した話、知人の娘が働くバーを探す話などが同時に語られる
などこれまた時系列がバラバラで分かりにくく、悪徳会社に潜入したり捕まって殺されそうになり逃げたり
自殺で線路に飛び込んだ女を救ったらそいつも悪徳会社の手先だったことが判明したりするがいまいち盛り上がりが
なく結局悪徳会社がどうなったのか説明がなく終わるという中途半端さで、ヤクザの事件は体内に覚醒剤を
隠して盗もうとしたが袋が破れて死に仲間が覚醒剤を取り出すために死体を損壊したという特に犯人がいない
つまらない内容で実は主人公は70の高齢者だったという叙述トリックが明かされるが特に驚きはなく肝心の
事件がつまらないのは面白味がない。
ヤクザ事件を捜査していた20歳の頃も70歳の現在もそれほど性格や行動は変わらないということが言いたい
らしいが、せめてもう少し分かりやすい構成にして欲しいところだろう。

というわけで、共に糞な今作。
もう少し面白い小説を出して欲しいものである。
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