俺的糞小説その102『悪魔が来りて笛を吹く&悪魔の手毬唄』

横溝正史が書いたこの推理小説、糞である。※ネタバレ全開

悪魔が来りて笛を吹く
この小説、父親の自殺の真相を娘が金田一に依頼し捜査するストーリーで、カギの掛かった密室で絞殺死体が
発見され死んだはずの父親がフルートを吹いていたのを見たという証言が出る不可解な事件が発生するのだが、
そこからはひたすら金田一による聞き込みばかりで退屈で、その後は3人の人間が同じく絞殺され顔が潰れた
身元不明の死体が発見され更に一人が毒殺されるが密室トリックは小窓から手を伸ばしてマフラーで首を締めて
殺したというしょぼい内容で他はトリックもなく、死んだ父親を見たという話は身元不明だった死体の男に
依頼して変装させていたらしいがいまいち必要性が感じられず、犯行動機は近親相姦を繰り返していた一族に
恐怖を与えて復讐するためだったらしいが犯人が遺書で全て暴露するため探偵との駆け引きがないなど、何とも
つまらない糞小説に仕上がっている。

悪魔の手毬唄
また、悪魔の手毬唄は鬼首村に伝わる童謡の通りに見立て殺人が起きるというストーリーなのだが、なかなか
事件が起きずこれまた退屈で、老人が失踪し滝の水を飲ませられた女の死体や秤に繭玉や小判が乗せられた女の
死体が発見されるが地味すぎて面白味がなく、最後はアザのある女が鈍器で殴られ殺されるが犯人はあっさり
自殺するという駆け引きのなさで、結局動機などは金田一が推理するが犯人は3番目に死んだ女の母親で
1、2番目に死んだ女は自分の夫の浮気相手の子供で自分の子供だけアザで醜く他の子供は美しいことが
許せなかったから殺したらしいが3番目の事件は本当は別の女を殺す予定だったが自分の娘がそれを止めるために
身代わりになり自分で娘を殺してしまう始末で、最初に失踪した老人は自分で殺して隠し犯人に仕立てるためで
手毬唄に沿って殺すことで童謡に詳しい老人が犯人であると思わせる計画だったらしいが見立ての内容自体は
意味がなく、3番目の事件で失敗したせいで計画が破綻しているのは面白味がない。
やはり犯人がしっかり計画通りやりきったところでそれを探偵が崩す構成にすべきであり、見立て殺人なら
もう少し見立てそのものに意味を持たせて欲しいところだろう。

というわけで、共に糞な今作。
もう少しトリックや構成など面白いものを出して欲しいものである。
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