俺的糞小説その72『黒手組&算盤が恋を語る話』

江戸川乱歩が書いたこの短編小説、糞である。※ネタバレ全開

黒手組
この小説、黒手組という犯罪グループが起こしたという誘拐事件に明智小五郎が挑むストーリーなのだが、
とある金持ちの娘が誘拐され身代金を払うが帰って来ず明智に相談し、身代金を支払った現場に残された足跡が
被害者とその使用人のものだけだったことが判明するがこの時点で使用人が怪しいことがバレバレで、しかも
その後あっさり明智が誘拐された娘を取り戻し帰って来るが単なる駆け落ちだったというつまらなさで、
身代金を要求した犯人は使用人でその駆け落ちを利用して金が欲しかっただけで黒手組とは関係がなく、犯人が
使用人であることに主人が気づかなかったのは竹馬に乗って大男に変装していたからというトンデモだったり、
脅迫状に暗号が隠されている要素もあるがやだら複雑で分かりにくくそもそも江戸川乱歩自身がこれは失敗と
認めているなど、何ともつまらない糞小説に仕上がっている。

算盤が恋を語る話
また、算盤(そろばん)が恋を語る話は内気な男が算盤に暗号を示して女に告白するという恋愛ストーリーなのだが、
女の算盤に毎日暗号を解くと「愛しき君」になるように数字を出して机に置いておくがなかなか気づいてくれず、
何度も繰り返す内にようやく気づいたような素振りを見せたので今度はデートの待ち合わせ場所を暗号に示し、
今度は逆に女が帰った後に置かれた算盤に暗号を解くと「ゆきます」となる数字を見つけたことからデート
場所に行くがいくら待っても来ず、諦めてもう一度算盤を確認したらその数字は単なる仕事で原価を計算した
だけで「ゆきます」に見えたのはただの偶然だったというそれだけの話で、いまいち盛り上がりがないのは
面白味がない。
そもそもそんな暗号分かるかよ、という感じだが、勝手に人の算盤をいじる危ない奴なら勝手な思い込みで
どんどん暴走するようなサスペンスにして欲しいところだろう。

というわけで、共に糞な今作。
江戸川乱歩は暗号が好きで二銭銅貨でも暗号が登場するが、点字に置き換えるなど分かりにくすぎるのは
何とかして欲しかったものである。
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