俺的糞小説その62『倒錯の死角 201号室の女』

折原一が書いたこの小説、糞である。※ネタバレ全開

この小説、向かいのアパートを覗く男と覗かれる女の2つの視点で交互に進んで行くストーリーなのだが、
翻訳家と旅行会社に務めるOLの日常がだらだらと語られるだけでなかなか事件が起こらず退屈で、そこに
泥棒の視点が加わり女の家に入り物色し日記を読み出したりするが余計複雑になるだけで必要性が感じられず、
主人公は女が上司と不倫していた所を覗きで目撃したことがキッカケでキレ出し「出て行け」というメモを
ポストに投げ込んで嫌がらせし始め、結局上司の妻に不倫がバレるがその妻が失踪する事件が発生し、同時に
通り魔事件も発生するようになり主人公は編集者に酒を進まされて記憶をなくした後自宅の庭にある地下室で
女の死体を発見し「自分がやったのでは?」と思い込み死体を庭に埋めることを繰り返すようになり、女の方は
上司との不倫で妊娠し上司に堕ろせと言われて口論の末殺され、最終的には一年前に女はすでに殺されており
その犯人を捕まえるたびに母親が娘である女の部屋に住み一年前の出来事を演じながら犯人を誘い込んでいた
というややこしいトンデモな事実が判明するがわざわざそんな回りくどいことをする理由が感じられず、しかも
それでなぜ犯人である上司が誘い込まれたのかも謎で更に主人公が通り魔として拉致して地下室に閉じ込め
埋めたという話は全て妄想だったことが判明するなどもはや何でもあり状態で、結局通り魔事件は上司の妻以外は
女の母親が起こしていたことが判明し、しかも今までの話は事実を元に脚色した小説だったことが分かり終わる
など、やたら複雑なだけで肝心の事件が平凡で犯人の存在感も薄いのは面白味がない。
一年前の出来事と現在の出来事が同時進行で語られていたという仕掛け自体がいまいちだが、もう少し余計な
要素をなくして事件の謎などを面白くして欲しいところだろう。

というわけで、色々と糞な今作。
折原一はこういう読者を騙すような叙述トリックを仕掛ける作家だが、ストーリー展開や結末などいまいちな
ものが多いのは何とかして欲しいものである。
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