俺的糞小説その60『ロシア紅茶の謎&屋根裏の散歩者』

有栖川有栖が書いたこの短編小説、糞である。※ネタバレ全開

ロシア紅茶の謎
この小説、エラリー・クイーンの国名シリーズを真似たようなタイトルの推理小説で、ロシア紅茶に入った
毒で死亡した事件を火村英生という犯罪学者と助手の有栖川有栖が推理するストーリーなのだが、パーティーに
出席していた妹と4人の友人が疑われ誰が被害者のカップに毒を入れたかが議論され、紅茶を作った人間、
紅茶を運んだ人間、砂糖を入れた人間がいることが分かるがどれも怪しさはなく、カップに入れる前の砂糖や
他のカップからは毒が検出されていないなど一つずつ可能性が潰されていき犯人はどの容器に毒を入れて
持ち込んだかなどあらゆる検証がなされていく展開は良いが肝心のトリックは毒は氷に入れられていて犯人は
それを口に含み紅茶を運ぶ時に口から出して入れた、というしょぼい内容で、後は唾液が検出されればそれが
証拠になると言って犯人も認めて終わるなど、何ともつまらない推理小説に仕上がっている。

屋根裏の散歩者
また、屋根裏の散歩者は江戸川乱歩の作品と同名で少しは変えろよ、と言いたくなるタイトルで、アパートの
主である老人が部屋で撲殺され、その被害者の日記が発見され屋根裏から住人を覗いていたら女の髪に頬ずり
していた男がいてこいつはニュースで話題の連続殺人犯ではないか?と疑っていたことが書かれており、
入居者の誰かが犯人で老人は口封じのために殺されたといつもの火村コンビが推理するのだが、結局怪しい奴の
天井裏から髪を落としたら発狂して犯人が判明するというくだらない展開で、日記にはそれぞれの住人を名前
ではなく記号で表していたが天井から見た寝相の形というくだらなさで全く必要性が感じられないなど、糞すぎて
全く面白味がない。
ギャグなのか知らないが、このネタのしょうもなさは何とかすべきだろう。

というわけで、共に糞な今作。
有栖川有栖は長編より短編が多く派手なトリックより犯人当てのロジックにこだわる作家らしいが、もう少し
トリックにこだわって欲しいものである。
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