俺的糞小説その43『Dの殺人事件、まことに恐ろしきは』

歌野晶午が書いたこの推理小説、糞である。※ネタバレ全開

Dの殺人事件、まことに恐ろしきは
この小説、江戸川乱歩の小説をモチーフとした短編小説集なのだが、椅子?人間!は既婚で作家の女に元彼が
メールで付きまとい部屋にある椅子の中にいていつでも復讐できると脅したことで女が恐怖感から椅子の上から
包丁で刺してしまい、その後に本人がインターホンを鳴らして登場しその血糊は嘘でこれはドッキリと1度は
安心させるが実は中に夫を眠らせて入れていて女を夫殺しの殺人犯に仕立て上げる復讐だったと告白して終わる
という内容だがメールの文面などが軽すぎていまいち緊迫感がないのは面白味がなく、スマホと旅する男は
アイドルとスマホを使って遠距離旅行をしていた男が実はこのアイドルはAIで本人は自分で殺したと告白するが
最後はその親が息子のホログラムと一緒に旅行をしていたという急にSF風になるトンデモ展開で、Dの殺人事件、
まことに恐ろしきは は興信所で働く男が不倫の証拠写真を撮るために見張っていたら殺人事件が起き犯人は
近くに済む小学生であると推理するが的外れで、結局その小学生が真相を明らかにするがVRでSM体験をしていた
途中でショック死した事故であり犯人はいないと言って終わるなど、何とも結末が酷すぎるつまらない糞小説に
仕上がっている。

また、『お勢登場』を読んだ男は原作と同じく箱に入って出られなくなり窒息するという話だが、箱の中から
スマホで妻に助けを求めるがその直後に妻がスマホを遠隔ロックして警察などに連絡させないようにして殺す
というそれだけの内容で、赤い部屋はいかにリフォームされたか?は原作の赤い部屋を舞台で演じていたら
最後の銃で撃つシーンで本当に殺人事件が発生し警察の捜査が始まるが全部ドッキリというしょぼさで最後は
怒った客の一人が監督を切り付けるがこれも演出の一部なのか分からない雰囲気で中途半端に終わったり、
陰獣幻戯は誰かに覗かれているという女の部屋を主人公が調べるが手掛かりはなくその後に主人公自身が
ストーカーの犯人だったことが判明するという謎展開で、最後はその女が本当は男であることが分かり男嫌いの
主人公が殺すなど今まで教育者として表向きは真面目にやって来たと書かれている割にはやっていることが
滅茶苦茶で、人でなしの恋からはじまる物語は恋愛ゲームにハマり夫と口論になり殺してしまい刑期を終えて
再婚した女が刑務所時代に使っていたノートを元になぜか暗号解読をし始めるという二銭銅貨のような謎展開で、
結局今までと関係ない建設会社の男が強盗が隠した株を発見するがすでに価値はなく終わるなど、まとまりが
なくどれもいまいち面白味がない。
人間椅子に関しては多少捻ってあるが、全体的に江戸川乱歩原作のような不気味さがなくなり余計つまらなく
なっているのは駄目すぎると言えるだろう。

というわけで、色々と糞な今作。
我孫子武丸と同じく歌野晶午も初期の3部作辺りは王道でまともだったが、他はろくなものがないのだから
勘弁して欲しいものである。
inserted by FC2 system