俺的糞小説その42『魔術師&吸血鬼』

江戸川乱歩が書いたこの小説、糞である。※ネタバレ全開

魔術師
この小説、鍵の掛かった部屋にいた男が頭部のない死体で発見されるというストーリーで、部屋の外では
警官も見張っているなど正に魔術のような完全密室殺人事件が起こるのは良いのだが、生首が川から流れて
来たり時計塔の針で首を切断されそうになったりマジックショーの中で体をバラバラにされるなどインパクトの
ある事件が次々起こるものの明智小五郎は犯人により監禁され逃げる途中で溺死し後に別人に変装して復活する
という非現実的な余計な要素があるのは蛇足で、時計塔の殺人は防いだくせにマジックショーの方はなぜか防げず
洞穴に閉じ込められた人間を救うシーンや敵のアジトに乗り込むシーンなど無駄にだらだらと長く、結局
密室トリックも被害者の娘だから堂々と部屋に入れたというアンフェアな内容で今まで登場すらしなかった子供が
最後だけ出て来てこの子供を使ってカギを掛けて小窓から出たという何でもありな説明をする始末で明智は
犯人の娘として育てられつつも親を裏切り明智を助けた女と結婚して終わるなど、無駄な要素が多く肝心の
トリックが酷すぎるのは面白味がない。

吸血鬼
また、吸血鬼は唇のない怪人が殺人事件を引き起こしていくというストーリーで、子供とその母親の誘拐事件が
発生したり密室殺人が起きたりするのだが、密室トリックは天井の一部が開く仕掛けがありそれを使った、という
いまいちな内容で、犯人を追いかける途中の廊下の曲がり角で犯人を見失い別方向から来た人間に鉢合わせる
という金田一少年でも使われたトリックは犯人がバレやすく、子供と母親を棺桶に入れて焼却しようとしたり
氷詰めにするなど残忍な犯人は特徴的だがすでに推理で犯人が分かっているにも関わらず明智が犯人を捕まえず
逃してまた殺人事件が起きる展開は馬鹿っぽく、推理も無駄にだらだらと説明が長く全体的にテンポが悪いのは
いまいち面白味がない。
そもそもこれのどこが吸血鬼なのか知らないが、もう少しテンポ良くすべきであり、自信満々に推理をし裏を
かく割には最後で失敗する明智の行動も何とかして欲しいところだろう。

というわけで、共に糞な今作。
金田一少年は最近は大人になった新シリーズが連載中だが、事件がいまいちな上に主人公が探偵になっておらず
いまいちやる気がないのは何とかして欲しいものである。
inserted by FC2 system