俺的糞小説その6『D坂の殺人事件&二銭銅貨&屋根裏の散歩者』

江戸川乱歩が書いたこの短編推理小説、糞である。※ネタバレ全開

D坂の殺人事件
この小説、D坂にある古本屋で起きた殺人事件の謎を主人公の男と明智小五郎という謎の男が推理するという
推理小説で、警察の調べにより黒いor白い着物を着た男が中にいたことが証言として上がるが他は何も分からず、
結局主人公は犯人は黒と白の縦縞の浴衣を着ていた明智が犯人という誤った推理を披露するのだが、結局は人間の
記憶は曖昧だから証言は単なる見間違いと言い出す始末で、被害者は被虐趣味があり隣の蕎麦屋の男とプレイ中に
死んだというしょうもない理由で終わるなど、特にトリックもなくそのぐらいなら警察でもすぐ捕まえられるだろ、
と言いたくなる何とも酷すぎる糞小説に仕上がっている。

二銭銅貨
また、二銭銅貨はとある泥棒が工場から金を盗み、その後警察は犯人を捕まえたが金のありかをしゃべらず
それを謎の主人公と友人が探し出すというストーリーなのだが、主人公がタバコ屋のお釣りとして入手したという
二銭銅貨に仕掛けがあることを友人が見つけてその中に入っていた紙切れにお経のような暗号が書かれており、
その謎を解くと金の場所が明らかになるという流れだがなぜか偽物で実は暗号は主人公が作った偽物という落ちで
結局本当の金がどうなったのか説明もなく終わるのは中途半端すぎていまいち面白味がない。

屋根裏の散歩者
更に、屋根裏の散歩者は下宿先で天井裏を徘徊して他人の部屋を見て遊んでいた男がある日隙間から毒薬を垂らして
寝ている住人の口の中に入れれば完全犯罪が達成できるのではないか?と思いつき実行するというストーリーで、
犯行後に密室だったために自殺と片付けられるがそこへ探偵の明智小五郎がやって来て部屋を調べ自殺する人間が
目覚ましをセットしていたのはおかしいと言って他殺説を主張するが証拠がなく、結局天井裏でボタンを発見したと
嘘をついて犯人に問い詰めたら反論できず終わるというあっけなさで、犯人は毒薬のビンも節穴から落として後で
穴を塞いだらしいがそんなでかい穴が警察の捜査でバレないのも不自然で探偵もいまいち論理的に証拠を見つけて
犯人を追い詰めるような展開がないのは面白味がない。
天井裏を使ったトリック自体はまあ良いが、こういう犯人が分かっているストーリーならもう少し犯人と探偵の
駆け引きというものが欲しいところだろう。

というわけで、どれも糞な今作。
他の推理物もそうだが、この手の話はやはり答えが考えつかない大きな謎がありそれを探偵が論理的に解き明かして
いくのが面白いわけで、そこに重点を置いて物語を構築して欲しいものである。
inserted by FC2 system