俺的微妙小説その11『そして誰もいなくなった』

アガサ・クリスティーが書いたこの小説、微妙である。※ネタバレ全開

この小説、閉ざされた孤島で殺人事件が巻き起こる推理小説で、登場人物は全員過去に何らかの罪があり
それを裁くために犯人が一人ずつ殺していくというストーリーなのだが、最初の事件が起きるまでが長いのは
退屈で、最初に1人が毒殺され2人目が心臓麻痺で死に、死ぬたびに置物の人形が一つなくなり童謡になぞらえて
殺されているということが分かり段々と疑心暗鬼になり互いに疑い出す展開は良く、斧で殺されたり銃殺されたり
など事件が起きるスピードが加速して行き、1人が消え遂には3人になり消えたあいつが犯人と推理するが
すでに死んでいたことが分かり仲間割れをし出すなど特に後半は面白いが最後の一人は自殺するのはいまいちで、
結局全員死亡で誰が犯人なのかを警察が推理するが分からず、犯人が残した手記によってようやく全てが判明し、
犯人は銃殺された振りをして全員が死んだ後銃で自殺したらしいが犯人も死んでいるため追い詰める要素が
なく探偵もいないのはいまいち物足りないものがある。
やはり真相は探偵が暴くべきであり、犯人は別の死体を用意するなどして脱出して欲しいところだろう。

というわけで、色々と微妙な今作。
外界から閉ざされた中で事件が起きるクローズド・サークル物は金田一やかまいたちの夜など色々あるが、
緊迫感を出せるだけにより面白いものを出して欲しいものである。
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