俺的微妙小説その9『夜歩く』

横溝正史が書いたこの推理小説、微妙である。※ネタバレ全開

この小説、首のない死体が発見され凶器である刀は金庫に入っていたにも関わらず使われた形跡が残される
という不可解な事件が起きるストーリーで、数日後石の下から首が見つかり被害者と同じ体格のくる病の男が
行方不明になったことから警察はその男が怪しいと捜査が始まるが事件は解決せず、今度は舞台が友人の故郷に
移り探偵の金田一耕助も加わるが再び首のない死体が発見され、推理作家である主人公は死体は替え玉で夢遊病の
女と友人が共犯と推理し金田一も第一の事件は凶器を金庫に入れる前にすでに殺人が行われていて行方不明の
男もすでに殺されており夢遊病の女が共犯者、と同じような推理をするなど展開としては悪くはなく、
結局主人公が自分の恋人を強姦した友人に復讐するために友人を犯人に仕立て上げていたという意外な結末も
まあ良いのだが、2人のくる病の男の特徴を一致させるために拳銃で傷を付けるという話はくる病という特徴が
すでにあるだけに必要性がなく、第二の事件の死体は替え玉ではなく夢遊病を演じていた共犯者の死体だった
らしいが友人と金田一が女を捜索する中で見つからずに主人公が女を殺し首を切断し首をどこかに隠した上で
更に死体を滝壺に捨てるというのはいまいち無理があり、主人公が犯人が誰なのかを恐れる描写などもあるが
それも含めて終盤以外は主人公が書いた小説という扱いなのはいまいちアンフェア感がある。
わざわざ舞台を2つにする必要性も感じられないが、もう少し無駄な部分はなくしてスッキリまとめて欲しかった
ところだろう。

というわけで、色々と微妙な今作。
今作のドラマ版はかなり変更されているようだが、古いだけにそろそろリメイクして欲しいものである。
inserted by FC2 system