俺的微妙小説その6『倒錯のロンド』

折原一が書いたこの小説、微妙である。※ネタバレ全開

この小説、推理作家を目指す主人公が自分が書いた小説が別人の名前で新人賞を取っていることを発見する
というストーリーで、原稿を書き上げ友人に見せたらワープロ打ちした方が良いと言われ、手伝ってもらった
ものの友人が原稿を電車で紛失してしまい、その原稿を拾った男が名前を書き換えて自分で応募し、更に
元の作者に盗作と言われないように原稿を紛失させた主人公の友人を作者と勘違いして殺し、それが本当の
作者ではないことに気づき主人公も殺害しようとするが仕留めることができず、主人公は再び一から原稿を
完成させ何とか応募するが入賞し雑誌に載ったのは作者が別人の同じ小説で、そこから主人公が盗作した
人間への復讐が始まるなどまあまあ面白く、結末も実際は主人公の頭がおかしく本屋で入賞作品を買いそれを
写して自分の作品と思い込んでいたというサイコな内容で良いのだが、盗作された作者が暴行された恋人を
助けに行ったにも関わらず気が動転して自分で殺すのはいまいち納得が行かずそれを警察も指紋などで犯人を
特定できていないのは謎で、最後は盗作された作者が今までの事件を小説にしようとするが主人公の母親が
その作者を殺して原稿を奪い取り主人公に渡すなど、終盤の展開がいまいちまとまりがないのは残念なものがある。
今作は江戸川乱歩賞に応募したものの最終選考で落ちたらしいが、結末はもう少しすっきりしたものにした方が
良かったと言えるだろう。

というわけで、まあまあ面白いが微妙な今作。
京都アニメーション放火殺人の犯人も自分の作品が盗作されたと思い込んでいたようだが、それに限らず
ネトウヨなど思い込みが激しく妄想やデマを信じる頭のおかしい人間がウヨウヨいるのだから勘弁して欲しい
ものである。
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