俺的微妙小説その5『占星術殺人事件』

島田荘司が書いたこの推理小説、微妙である。※ネタバレ全開

この小説、とある画家が自宅のアトリエで密室状態で殺され、更にその6人の姉妹の死体がバラバラかつ
それぞれ体の一部分が切り取られた状態で発見され、その真相を探偵の御手洗潔が暴くという推理小説で、
推理能力は高いものの変人さが際立つ探偵の言動は面白く5人のバラバラ死体から一つずつパーツを集めて
それで6人目の死体を作り上げるというトリックは良くできているのだが、密室殺人は糸を使ってカギをかける
というありきたりな内容で面白味がなく、最初は画家が書いたとされる手記から始まるが占星術の用語などが
多く読みにくくだらだらと続くのはだるく、トリック自体は新しいが頭のない死体が混ざっているだけに
犯人が分かりやすく全体的に無駄に長いのは残念なものがある。
序盤の読みにくさは黒死館に似た感じがあるが、もう少しテンポ良くまとめるべきだろう。

というわけで、色々と微妙な今作。
今作は金田一少年の事件簿がトリックをパクったということで問題になったが、別にトリックを真似ること
自体はよくあることであり、今作の問題である序盤の読みにくさやテンポの悪さが改善されているのだから
むしろ作品としては良くなったと言えるだろう。
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