俺的微妙小説その3『白髪鬼&二廃人』

江戸川乱歩が書いたこの小説、微妙である。

白髪鬼
この小説、金持ちの男が妻と友人と一緒に旅行に行き、友人の誘いで崖に登ったら崩れて落下し目覚めたら
棺の中で先祖が埋葬された石室に閉じ込められていたというストーリーで、何とか棺を壊し抜け穴を見つけ
外に出たら自分の髪が白髪で老化していることに気づき、更に妻と友人ができていて崖から落ちたのも事故では
なく計画通りの殺人だったことが判明し、そこから2人に復讐するという流れで復讐方法は主人公が別人になり
すまして友人に近づきコンクリートで覆われた部屋に閉じ込めて石で押し潰すという残虐な方法でまあ良いのだが、
妻は自分が閉じ込められた石室に抜け穴を塞いだ上で閉じ込めるというものだがこちらは死ぬ描写がなく、
最後は主人公が警察に捕まるがやりすぎたと反省して終わるなど、白髪鬼という割には理性的でそこまで
鬼ではなく結末がいまいちなのは面白味がない。

二廃人
また、二廃人は2人の男が温泉で昔話をするというストーリーで、一人は戦争で傷を負ったことを話し、
もう一人は自分は大学生の頃に夢遊病になり下宿先の老人を殺してしまったと告白し現場に自分のハンカチが
落ちていたことや自室で老人が持っていた株券などが見つかり自首し結局病気ということで無罪になった
という話をするのだが、それを聞いていた男が夢遊病であるという証拠は友人の目撃証言だけのでっち上げで
本当はその友人が殺したのではないか?と推理をしてその場は終わり、その後更に今推理をした男こそが戦争で
顔が変わったかつての友人で真犯人ではないか?と考えて終わるなど世にも奇妙な物語に使えそうな内容で
捻りがあるのは良いが事件そのものは特に謎もなく結局正解は分からず動機も語られないのはスッキリ感がない。
話を聞いただけで推理するという安楽椅子探偵な構成は良いが、もう少し面白いトリックを入れたり結末を
しっかり書いて欲しいところだろう。

というわけで、共に微妙な今作。
ゲームでもなかなか面白い推理ADVが出ないが、ファミコン探偵倶楽部のリメイクが出るということで新作も
出して欲しいものである。
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